2017年6月27日火曜日

種苗法・品種登録の基本(10):登録品種の「従属品種」とは? 従属品種の権利関係は?

品種登録をするためには、「他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること」が必要です。

例えば、登録品種Xがある場合に、
Xと同一品種
及び
Xと特性により明確に区別されない品種
は、品種登録を受けることはできません。

ところで、育成者権は、登録品種Xの「従属品種」や「交雑品種」にも及ぶとされています。


従属品種とは、
「(親となる)登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され、かつ、特性によりその登録品種と明確に区別できる品種」のことです。

従属品種Aは、登録品種Xと特性により明確に区別されることから、品種登録を受けることができます。


例えば、ある登録品種の耐病性のみを高めただけの品種(ササニシキBL)や、花色のみを変えただけの品種(きくの品種‘スタリオン・イエロー’) などが従属品種に該当すると考えられます。


従属品種の育成方法としては次のような方法が定められています。

・ 変異体の選抜
・ 戻し交雑
・ 遺伝子組み換え
・ 細胞融合の方法(非対称融合に限る。)

これらの方法を利用すれば、ある登録品種Xの主たる特性を保持したまま、特性の一部を変化させた新品種Y(登録品種Xと、特性によって明確に区別することができる。)を容易に育成することが可能です。

そこで、登録品種Xの従属品種である新品種Yについて、品種登録できる一方で、登録品種Xの育成者権が及ぶこととしました。

従って、品種Yを利用する場合には、品種Yの育成者権者だけではなく、品種Xの育成者権者の許諾が必要になります。


一方、従属品種は、「登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され」た品種ですので、登録品種に主として由来していることが必要です。

そのため、次のような品種は従属品種にはなりません。

両親の性質を半分ずつ受け継ぐ通常の交雑によってできた品種(従属品種の育成方法として定められていない)

ある二つの品種の特性のほとんどが一致するような場合であっても、これらの品種がそれぞれ別の品種を親としている場合(他人のそら似)

ある二つの品種が親を同じくする兄弟関係にある場合


品種登録について、法律(登録要件や各種手続き)の立場からサポートをしています。また育成者権の保護・活用のほか、農業経営のサポートをしています。
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